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北米での和食熱②

※最近多忙で随分と更新が遅れてしまいました・・・

④トロントのJA Bistroでの思い出
先週のトロントでは2つの和食にまつわる面白い体験をしました。ところで先のコラムでトロントはとても日本人が少ないということを書きましたが、市内にはこれだけ日本食レストランがあります。
どれだけ和食が外国人に受け入れられているかがわかりますね。
ところで、最近できたばかりの日本食レストランでとても人気があると言われているJA Bistroにランチを食べに行ってみました。
まるで日本にいるかのようなインテリアです。和モダンでとても素敵です。
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ここは実は私が海外で食べた和食の中で一番美味しくて感動したところです。
見た目も食べるのがもったいないくらい美しいし、外国人向けにアレンジされた寿司ですが、日本人の口にも驚く程美味しかったです。エビは炙られて、ゆず風味のマヨネーズ&マスタードと和えられています。しめ鯖もしっかりとした分厚い身に揚げタマネギが添えられています。面白い組み合わせですよね。
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私はカウンターに座って板前さんとお話しながらランチを食べました。出張中で日本語を話す機会が全くなかったので、すごく心休まる時でした。
板前さんも久しぶりに日本人を見かけて嬉しかったようで仲良くなり、トロントに来られたきっかけからここでの生活についてお話を伺うことができました。

そしてちょうどその時、このレストランに地元の高校生たちが課外授業で日本料理を学びに来ていて、板前さんに誘われ、私も課外授業に参加してみました。
高校生たちに料理を食べてもらいながら和食や日本文化について説明をしたり、質問を受けるという形態です。
受けた質問は「何故和食はこんなにも繊細なのですか」「懐石料理が出来た所以は何ですか」そして「和食レストランを海外で開店したきっかけは何ですか」といったものまで計10個くらい質問を受けました。

私がとても面白いなと思ったのは一番初めの質問のに対する板前さんの答えです。
この質問は必ず外国人の方から受けるそうですが、「西洋人は1輪で美しく咲くバラを愛でるけれど、日本人は大輪で咲く桜を愛でることからわかるように、西洋では1つでも主張ができるものが愛されるけれど、日本では全体のハーモニーが大事にされます。料理も同じで和食では1つ1つの味は控えめだけれど、料理全体で1つの作品となっています」ということでした。
なるほど、新渡戸稲造の武士道を少しアレンジした解釈で和食について説明されている部分が面白いなと感じました。

JA Bistroでの1時間のランチですが、海外で日本の食文化を広げることに貢献されている方々とお話できただけではなく、現地の課外授業にまで参加させていただき、大変貴重な経験でした。

⑤トロントで日本酒醸造
仕事後にトロントの街を歩いていたら、こんな看板を見つけました!
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トロントで日本酒が醸造されているのです!!
Izumi
早速お店の中へ入ってみました。
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この醸造所はカナダ人のオーナーの方によって2011年2月に営業を開始しており、オンタリオ州の水とカリフォルニア州で採れたお米を使って作られている日本酒です。
オーナーの方は日本に住んでいた頃、日本酒の美味しさに魅了され、カナダに帰国されてから日本に住む醸造家から遠隔でアドバイスをもらい、この醸造所をつくられたとのことです。
誰も外国で日本酒が作れるなんて思いもしないですよね。
情熱があれば不可能と思えることも可能にできるのかなと夜ホテルに帰る道で1人で考えていました。

⑥Japan Week
つい先日の話ですが、3/19~21にグランドセントラル駅でJapan Weekのイベントが開催されていました。
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これは2012年から始まったイベントなのですが、日本の観光のプロモーションのために日本の文化や食事、音楽などを紹介するものです。
日本の旅行会社、食品会社などが出店をしていました。

べっぴんさんお二人です。
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外国人の方が羨望の目で見ていて、一緒に写真を撮りたい人の列が出来ていました。

立ち飲み屋もありました。こういう雰囲気懐かしいです。
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会場全体はこんな感じです。グランドセントラル駅構内のフランス調の重厚な建物と、立ち飲み屋がミスマッチかもしれませんが、それも愛嬌ということで(笑)
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以上、長々と北米で注目される和食を紹介してきました。
例えばですが、アジアの他の国々の食事を考えてみても和食ほどここまで外国で受け入れられている食事はないのではないかと思います。
韓国料理、ベトナム料理、マレーシア料理、タイ料理などはどうでしょうか。もちろんレストランは至るところにあるのですが、日本食レストランほど数は多くないです。
日本食がここまで注目される理由は私が思うに3つあると思います。

①味が繊細で淡白であるため、他国の料理とのフュージョンがしやすい
②健康食ブームの中で和食は他国の料理と比較して圧倒的にカロリーが低い
③盛り付け(Food Entertainment)が美しい

ということです。
和食をベースにしたビジネスはまだまだ伸びしろがあると私は思います。
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by kanagourmet | 2013-03-25 12:03 | Comments(2)

北米での和食熱①

最近は以前よりましてアメリカで生活していて和食熱を感じることがとてもあります。さらにトロントに出張していてそれは確信となりました。
海外ですと不思議と「和食≒SUSHI」となります。
アメリカでダイエット&健康食ブームと言われて久しいですが、低カロリーであっさりとしていて、他国の食事と比較すると繊細な味で見た目の美しい和食を嫌いという外国人は見たことないです。

d0235123_14594241.pngJETRO Japanese Restaurant Trend 2010によると、日本食レストランは2005年から2010年にかけて全米で9,128店も増えているそうです。州別にみるとカリフォルニアが一番多いです。それもそのはずで、CA州は面積も広く、Torranceという日本人が多く住む市もあるため、圧倒的に日本食レストランが多いです。Torranceの日本食レストランは調べてみるとこんなにもあります。私も一時期はTorranceに頻繁に出張していたのですが、ここはもう日本の1都1道2府43県ではなく、44県目と言ってもいいほど(Torranceは市ですが、非常に面積が大きいので日本の「県」程度に該当します。)で、毎日和食ばかり食べていました。
そして次に多いのが私が住むニューヨークです。こちらでも日本食レストランが多く、毎日和食だけ食べて過ごすことも可能です。中には日本にあるレストランよりも美味しいと思うところもあります。そして最近感じるのは和食に遭遇するのは何も日本食レストランだけではないということです。特に多いのがフレンチレストランで和食の素材やだしを用いた料理を見かけます。「Shimeji」「Shiitake」「Yuzu」等です。他のアジア料理を考えてみると、中華、韓国、タイ、マレーシア、フィリピンの食材などがフレンチで用いられることはほとんど見たことはないです。これを考えても和食は国際化してきていると言えます。

それではまたこのコラムも長くなりますが、私が遭遇した北米での和食熱を書いていきます。
①アメリカどこの街でもある日本食レストラン
d0235123_1525729.jpg昨年の夏、アメリカ南部を旅行していたのですが、旅したどの街にも日本食レストランがあるのには驚きでした。全て寿司屋ということになっているのですが、寿司以外の和食もメニューにありました。どんな味なのか試してみたくて、チャールストンで韓国人経営の寿司屋に入ってみました。チャールストンはアメリカ南東部にある街ですが、もちろん日本人は1回も見かけたことがありませんでした。それでも和食レストランは5軒ほど見かけました。そして左の写真が出てきた寿司なのですが、日本と引けを取らないくらい美味しかったです。
そして中部のサンタフェにも行ったのですが、こちらは驚くことに日本人経営の寿司屋が2店舗あり、両方行ってみました。正直アメリカ中部の砂漠と山だらけの街まで新鮮な魚介類が運ぶのはとても大変だと思います。それでも最大限の努力をして営業されているのだなと思いました。板前さんとお話しましたが、寿司職人の道30年で、ハワイやカリフォルニア等で働いたあと、まだ日本食レストランがなかったサンタフェでお店を出すことにされたそうです。今はこのお店に修行に来ているアメリカ人が2人もいるとおっしゃっていました。

②シェフ養成学校での経験
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昨年私はシェフ養成学校に通っていたわけですが、そこではフレンチの勉強をしていました。もちろん教科書も全てフレンチに関するもののはずですが、驚いたことにフレンチの教科書の中に唯一SUSHI Bookがありました。授業では参照される程度でしたが、鮮魚の扱い方を授業内で触れました。
和食がInternational Cuisineの一つとして成り立っていることのいい事例だと思いました。
それにしても、この写真のSigel先生はとても厳しいお方で、随分と鍛えられました(^_^;)

③アメリカの"SUSHI"
アメリカで寿司といってもその形態は様々で、江戸前寿司からカリフォルニアロールそしてカップ寿司まであります。
まずはニューヨークの江戸前寿司で一押しなのが、牛若丸です。
先週末、アメリカ人のお友達と暖簾をくぐってきました。
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レストラン内はほとんど外国人の方で、日本人はいても1割程度だったと思います。d0235123_14462669.jpgd0235123_1447373.jpg
あん肝も日本の味そのものでした。味ぽんも特製だそうです。
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鱈の西京焼きも食べました。盛り方が美しいとアメリカ人の友達は喜んでいました。
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こんな本格的な江戸前寿司があると思いきや、寿司が独自の進化を遂げて、"SUSHI"となっている例をいくつも見てきました。
これはカップ寿司です。日本でも最近あるみたいですが、この発想は海外発なので、これは「逆輸入」された例ですね。
Plaza Hotel内のTodd Englishにて
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その②では興味深いトロントでの経験をお伝えします♪

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by kanagourmet | 2013-03-06 02:44 | Comments(4)

コスモポリタンな街「トロント」

先週は1週間1人でトロントに出張していたわけですが、1人で1週間もトロントでどうしよう・・・。ずっと孤独だわ、なんて心配していました。
ですが、この3年間のニューヨーク生活で随分と異国適応力みたいなものがついたようで、レストランで話しかけられるカナダ人に私は出張者ではなくて、トロント生まれのJapanese Canadianに間違われるなど、「カメレオンな私」なのでした(笑)。
このトロント出張は今までの出張よりも現地に溶け込む機会が多く、自分なりにすごく感じたことが多かったので、私が見たトロントの街レポートを日記にしてみました。

トロントで感じたことは主に2つあって、「日本人が極端に少ない」ことと「街が発展中」ということでした。
知り合ったカナダ人ビジネスマンに聞いたところによると、カナダは現在移民を非常に多く受け入れていて、特にトロントは毎年10万人(!)もの人たちが移住してくるとのことでした。世界第二の大きさを誇る国土を保ちながら人口は3400万人とアメリカの約9分の1、日本の約4分の1であり、さらなる国力の発展には移民を受け入れるしかないのです。
その方曰く、10年後にまた来たら今とは全く違ったトロントになっていて驚くと思うよ、ニューヨークと同じくらいコスモポリタンで大都市になっているかもしれないとのことでした。

実際、ビルやコンドミニアムの建設ラッシュでした。
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カナダ人の方々とカナダの移民政策についても話が及んだのですが、カナダは気候条件の厳しさから経済が発展できる都市が限られていて、西か東の海岸沿いの街に集中し、中央部は山岳地帯でツンドラ気候が厳しく、とてもビジネスが発展するような場所ではないそうです。そのため、バンクーバー、オタワ、トロントに経済発展が集中しているんですね。
そして移民は希望すれば誰でも可能というわけではなく、英語かフランスが堪能で教育水準が高い(カナダの教育機関を卒業していれば尚可)人が最優先で移民許可が下ります。
しかしながらカナダ人の職業を優秀な外国人に奪われてしまうという懸念が広がり、移民してきたはいいものの、ホワイトカラーの職にありつけなくて、渋々タクシードライバーをしながら生活費を稼いでいる技術者も多数いるみたいです。圧倒的に不足しているのはブルーカラーの仕事だそうです。
可能性を求めて海外に活路を見出したのにも関わらず、これは残念な現実ですね。
カナダの移民政策は成功しているとは未だ言えない状況のようです。

日本人について言えば、トロントはものすごく少なく、ほとんどすれ違うことがありませんでした。
日本食レストランに行くと、日本人シェフの方に「日本人の方ですか、うちに月に数える程しか来ない日本人の方だから珍しいです。日本人が来たからきちんとした日本語を話さないと!」なんて言われてしまうほどでした(笑)。
Demographics of Torontoで調べてみるとトロント市民の人口に対して日本人はなんと0.5%でした。こんな大都市であるのにこの少なさには驚きです。でもこの中には留学生等の短期滞在者も含んでいるので、永住者となるともっと少ないはずです。参考としてニューヨークは1.5%~2%程度を占めています。どれだけ少ないかがわかりますね。
ニューヨークにいると、私は日系企業で働いているからというのもありますが、日本人がとても多く、「日本人村」にいるようで、異国にいながらほぼ日本と変わらない生活を送っています。
しかしトロントにいると、自分もカナダ人なのではないかと思ってしまうくらい、自然と「現地化」していました。
これは自分にとって不思議な体験でした。
この1週間で10人以上のカナダ人とお話しましたが、外国人の私にもとても優しく、おおらかで、とてもいい意味でサバサバしている人たちが多いと思いました。私はトロントしか知らないけれど、ニューヨークと比べると大都市なのにすごく人々の距離が近いと思いました。カナダ人のそういうところが大好きです。

数年後にまた訪れてみたいです!

1人で仕事をしながらいろいろ考えて、業務後はエンジョイ出来たトロント出張から昨日ニューヨークに戻ってきました。
こちらは飛行機の窓から眺めたニューヨークです。ブルックリン上空にいる時の写真ですが、昨日はちょっと天気が悪かったです。
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いつも出張から帰ってくるときこの風景を見るのですが、とても落ち着きます。
今の私にとって、ニューヨークは地元なのだと実感しました。

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by kanagourmet | 2013-03-04 03:53 | Comments(4)

AGO ~Art Gallery of Ontario~②

AGOの2階はカナダ国外ではほとんど見かけることがない、カナダ美術が展示されています。
カナダ美術って・・・?私は初めて鑑賞しましたが、一言で言うと「雪のアート」です。

前の日記で記述したKenneth Thomson氏のカナダ美術コレクションがこちらに展示されており、名もなき画家たちが、雪深いカナダで生活してきた先住民たちの生活を伝えています。
どれも19世紀に描かれた絵画です。ほのぼのとした農民の生活を描いたものばかりで、鑑賞しながらちょっと笑ってしまうのでした。
「こんなに薪を持っ帰らなきゃいけないのかよ?」「今日は安くしておくよ、兄さん」なんてやり取りをしているのでしょうか。
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家の前の角でそりがスリップしてみんな横転してしまいました。 d0235123_6111331.jpg
「早く帰っていらっしゃい!」ってお母さんが怒っています。d0235123_633344.jpg
飲み会終了後に居酒屋の出口で酔っぱらった人たちがうろうろする様子は日本と同じですね(笑)
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農民の表情がとても豊かに出ています。拡大してみると・・・
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私はこういう日常のひとコマを優しいタッチで描いた絵画が大好きです。
それにしてもすべての絵画が雪に覆われていますね。

やがて19世紀後半から20世紀にかけてカナダ人の画家たちはパリに留学をし、印象派絵画を身に付けるようになります。そして著名なカナダ人画家7名が集まって、Group of Sevenという画派が生まれます。これは1920年~1933年までカナダの自然を描いた画家たちののグループで、フランスの印象派の影響を強く受けているため、画風がそれらととても良く似ています。
この7名の画家たちの絵が、こちらの美術館に展示されています。d0235123_6423373.jpgd0235123_6424773.jpg
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館内はこんなパリのサロン風に絵画が飾られたお部屋もあり、とても素敵です。
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そして木製の螺旋階段を登り最上階まで行くと、カナダの現代アートが鑑賞できます。
いくつかあった作品の中で、印象に残ったのはこちらです。
Christine Pflug "With the Black Flag"
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この作品を見てすぐに気がつくのですが、カナダの国旗が通常赤のところを黒く塗られています。
クリスティンはドイツ生まれの画家でパリでデザインの勉強をし、そこで知り合った男性と結婚し、カナダのトロントに移住してきます。彼女はもともと引きこもり気がある性格で、毎日2人の娘と家の中で過ごし、窓から眺めた風景を描いていました。この作品を見ているとクリスティンと一緒に窓から外を眺めているようです。
彼女の絵画の中で「窓」は重要な意味を成しており、外界と内界、公私を分ける境界線でした。そして日々子育てをしながらも人生の孤独や挫折感などを感じており、異国での生活にも絶望感きたしていました。そしてこういった自分の誰にもぶつけられない感情をにカナダの国旗を黒く塗ることによって表現しています。

残念ながら彼女はこの作品を描いた翌年、トロントの湖畔で自ら命を絶っています。36歳の若さでした。

さて、2時間程度に渡るAGOの鑑賞もそろそろ閉館時間が近づいてきました。業務終了後の束の間の自己学習の時間でした。すごく楽しかったです!
雪が降る中、クリスティンの心の闇は何だったのかを考えながら帰路につくのでした。

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by kanagourmet | 2013-03-04 01:52 | Comments(0)

AGO ~Art Gallery of Ontario~①

水曜夜にはArt Gallery of Ontario(通称AGO)に行ってきました。
通常AGOは5時半に閉館してしまうのですが、水曜夜だけは8時半まで開館していて、しかも6時以降は入館料フリーと聞いたので、早速行ってみました。
ここはカナダ随一の美術館で現代アートを中心に展示されていますが、西洋美術、彫刻も充実しています。

エントランスを抜けると木製のらせん階段がある広場に出ます。美術館では絵画だけではなく、美術館自体の建築を鑑賞するのも楽しいですよね♪
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まずは西洋美術部門から鑑賞したものをご紹介していきます。
ディプティクのコレクションはニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)よりも優れています。
METと比較すると格段に小さい美術館であるのに、この豊富さには驚きです。
中でもこちらは美しい象牙でできていて、大変細かい細工で目を奪われました。
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ところでディプティクとは古代ローマ時代から14~15世紀くらいまで作成された個人用の祭具です。持ち運びが可能なように、小さく作る必要があったため非常に細かい彫りが施されています。また祖先へ伝えるために素材として丈夫な象牙が頻繁に使用されました。
上記のディプティクは左がキリストの誕生を、右が最後の審判を表しています。

さて、西洋絵画のコレクションはルネッサンスと私が大好きなフランドルバロック美術が多く展示されていました。
中でも目を引いたのはこちらの絵画です。
贅沢な空間の使い方ですよね。遠くから見ると不思議と3D に見えます。
ルーベンス 「The Massacre of the Inocents(幼児虐殺)」
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これは新約聖書の「マタイによる福音書」に現れるエピソードで、新しい王(キリスト)がベツレヘムに生まれたと聞いておびえた、ユダヤ人の支配者ヘロデ王がベツレヘムでどの子供かわからないキリストを抹殺するため、手当たり次第に2歳以下の男児を全て虐殺させたとされる事件です。
題材はとても残酷なものですが、この絵画にはフランドルバロックの特徴が明確に表れています。
ダイナミックな構図(3Dに見えたのもこのためですね。)、動的な肉体美、輝く色彩全てが織り込まれています。
ルーベンスは16世紀末から17世紀前半まで活躍したフランドルバロックの代表画家で、この作品はルーベンスがイタリアに滞在していた時、イタリアバロック画家のカラヴァッジョから受けた影響も見て取れます。ちなみにルーベンスは画家兼人文学者兼外交官でもありました。非常に多彩な人だったんですね。
d0235123_14474818.jpgこの絵画についてさらに調べてみました。1611年にルーベンスがこの絵を完成させてから、オーストリアの富豪の家を転々とし、イギリスの伯爵の手に渡り、2002年にカナダの美術収集家であるKenneth Thomsonが117億円で購入したそうです。(左図の方、館内写真を撮影しました)
彼は世界のMedia Ownerとして知られる人で、The Timeなどを傘下に収めるThomson Reutersは彼の父親が設立者です。フォーブス誌によるとカナダで最も裕福な家庭で、世界では9番目に資産がある人だそうです。ちなみにAGOの西洋美術とカナダ美術の多くは彼のコレクションです。

さて次の展示のご紹介です。AGOでは印象派の絵画も充実していました。いつ鑑賞しても明るい気分になれますね。
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館内には私がまたしても好きなスタイルの抽象画がありました。
ジョルジョ・デ・キリコ 「イタリア広場」
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キリコは形而上絵画の創始者でシュルレアリスムの先駆の画家です。シュルレアリスムとは19世紀前半にヨーロッパで流行した絵画の形式で、日常世界の背後にある世界を絵画で表現することです。全く関係ないモチーフを絵画内で組み合わせることにより未知の領域を広げて、個人の無意識の世界や夢が描かれています。
この形式の絵画は不気味で奇妙な作風なのですが、私はとても大好きです。
というのもこの画家たちの伝記と併せて絵画を鑑賞すると、絵画に画家たちの夢や欲望が暗に描かれていて、通常表面には表れない人間の素の精神を読み取ることが出来るからです。
他のシュルレアリストであるデルヴォーやマグリットの絵画もとても奥深く、大変面白いです。

AGOの西洋美術で最後の紹介はこちらです。
ピカソ 「座る女」
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20世紀最大の画家と言われたピカソの作品です。ピカソの初期の絵画はキュビスムと呼ばれており、これは3次元の物体を2次元で再現する方法で、物体を円錐、球、円筒に解体して描写しています。だからCubeからキュビスムとなったのです。
この絵画は解説を読まないと判読不可能なのですが、ピカソとピカソの妻オルガ、6歳の息子が描かれています。当時複雑な家庭環境にあり、決して幸せではなかったこの3人の家族の複雑に絡み合う人間の感情が妻オルガを中心に灰色やキュビスム的に描かれた曲線により表現されています。

さて、西洋絵画セクションの鑑賞は一旦こちらで終了し、2階に移動してこれからはカナダ美術の鑑賞です。
AGOの2階は木製のオープンギャラリーが広がっており、 鑑賞者の目を楽しませてくれます。
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外から見ると、このような美しい曲線のフォルムを描いているのがわかります。晴れていれば陽に当たる面積が広いので、さらに明るく見えますよね。(こちらの写真はAGO公式HPよりいただきました。)d0235123_158592.jpg

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by kanagourmet | 2013-03-02 02:06 | Comments(0)