「マギーズ・プラン」夫、「返品計画」の感想

※この記事は映画のネタバレをしています。


交際0日婚は良いようで悪い、悪いようで良いものだと思います。


先日の週末の午後、またいつものように掃除方法をめぐって旦那と痴話喧嘩をして私が瞬間湯沸かし器になりそうだったので、買い物に行くと口実を作って1人で自転車で奥渋(渋谷と代々木上原の間のあたり)まで行きました。週末は2人でいつも一緒にいるのですが、こういう時は数時間でも離れた方が得策です。

ここは独身時代の色々な思い出が詰まった場所です。レストランから雑貨、グローサリーまで、オーナーの個性が光るおしゃれなお店が軒を連ねています。

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特にこの場所で好きなのがUPLINKという30人くらいしか入ることが出来ない極小シアターなのです


ここで全国放映されていない、キラリと光るマニアックな逸品映画をこじんまりと1人で観るのが私の独身時代の密かな趣味でした。


この日観たのは今の自分にピッタリの作品「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」。

夫の「返品計画」を企てた女性の話というのだから笑ってしまいますよね(^_^)

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ニューヨークのダウンタウンを舞台に夫と妻、そして前妻の三角関係を描いた作品です。

一見ドロドロしがちなこのテーマは、ダメダメなんだけどどこか憎めない登場人物たちと美しいニューヨークの冬の描写が背景となり、とても軽やかに描かれていました。

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マギーはニューヨークの大学で美術を教えるアラフォーの講師です。今まで恋人と半年以上続いたことがないという恋愛音痴であるが故、自分には結婚が合わないと諦めています。でもどうしても子供は欲しかったので、大学時代からの男友達である数学者のガイに協力を仰ぎ、試行錯誤して人工的に授かる術を試しています。

そんな時、勤務先の大学で文化人類学者のジョンと知り合います。彼は大学で教える傍ら小説家を目指しており、意気投合したマギーが彼の作品を読んで感想を言い合うことで2人は一気に急接近し、恋が始まります。

ただこの彼は既婚者だったのです。

ジョンはコロンビア大学で学部長を務める超キャリアウーマンの妻ジョーゼットとの関係がうまく行っておらず、子供たちの世話から日常の家事までを1人でこなす主夫の生活に嫌気がさしています。

そこで離婚を決意し、晴れてマギーとジョンは夫婦となるのです。


d0235123_01370909.jpg3年後にお話は移ります。マギーは結婚後すぐに出来た子供と、仕事を辞め小説家を夢見る夫と3人で生活をしていますが、「何かが違う」ということを感じ始めます。家事もこなしながら一家の主として家計を支えるために働き、マギーはとても忙しい毎日を過ごしています。夫は小説を書いてはいるものの空回りしていて、ヒモ夫なわけです。

毎日深刻な喧嘩が絶えず、マギーは「この結婚は失敗だった」と気が付くのです。

そんな中前妻ジョーゼットと夫の間の子供2人の世話を通して前妻とマギーの間に友情が生まれます。マギーはジョーゼットは単なる非常で冷徹なキャリアウーマンではなく本当は夫のことを今でも愛している心優しい人なのだと気が付きます。そして夫も友人として前妻と付き合っていますが、まだ心の底では前妻のことが忘れられていないのだと感じます。

それで思いついたのが前妻に夫を「返品する」計画です。d0235123_01372988.jpg

前妻に計画を打ち明けたところ「調子がいい」と激怒されるのですが、自分の気持ちに正直になり計画に賛成することにします。

そしてマギーは前妻と夫が鉢合わせして、2人が昔を思い出せるような環境を作る計画を練り、実行に移します。

「返品計画」は成功し、夫はマギーに前妻と元に戻りたいと告白します。

物語最後の場面が印象的で、意外な結末で物語は終了します。


マギーはこうしてシングルマザーとなり、結婚と離婚を通して運命は全て受け入れることを誓うことを考えながら娘とブルックリンのプロスペクトパークでアイススケートをしています。

その時ふと気が付くのですが、幼い娘がやたらと数字を覚えるのが得意なのです。

もしかしてそれって・・・!?運命は違う方向に向いていた!と思ったときに、数年前人工的にシングルマザーになる計画に理解して提供してくれた男友達の数学者ガイが前に現れて、事実に気が付くという大波乱の展開で映画は終了します。


d0235123_01373207.jpgこの映画を一言で表すと、「大人になりきれない大人たちの茶番劇」です。大人たちの気まぐれに付き合わされる子供たちの気持ちはどうなるの!?と言いたいところですが、それは映画の主題ではないので、ほとんど描かれていません。

「みんな、しっかりしてよ」と言いたくなる内容かもしれませんが、それは脚本家の腕が成せる技なのでしょうか、不思議とマギーやジョンに親しみを持ってしまいます。人生に空回りしているどこか憎めないキャラクターなのだと思います


男性との交際が半年以上続いたことがないから、結婚は諦めてシングルマザーになりたいというマギーの考えは非常に勇気がいることです。私も婚活難民だった頃、何度も自分の結婚を諦めましたが、結婚を通り越して子育てをするなんて私には考えも及びませんでした。日本ではあまりまだ浸透していないことなのかもしれませんね。

また前妻との子供を現在の妻が前妻と協力しながら面倒を見るということも日本ではあまりないのではないかと思います。


しかしながらニューヨークは断然東京よりも離婚率が高く、男女ともにマインドが非常に独立しているため、邪念などはなしにしてステップファミリーの関係を楽しんでいる人たちもいました。

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以前、ホームパーティーで知り合ったアメリカ人女性はまさにマギーと同じ状態だったのですが、「子供たちを夫婦2人で見るよりステップファミリーとしてそれぞれの再婚相手も含めて4人で見たほうが人数が多いし、意見も偏らなくていい」と言っていたのにはとても驚きました!発想の転換とはまさにこのことだと思いました。


所変われば家族観も変わるものですね。「こうあるべき」論を押し付けあうのではなく、お互いが心地よいと感じる関係性を作っていくことが大事なのだと思いました。


この映画の公開はまもなく終了しますが、20177月頃にDVDレンタルが開始されるそうです。


映画鑑賞後は夕食の食材を買い帰宅すると、うちにも大人になりきれない大人がいました(私も同じくなりきれていないのですが。笑)

最近コラムを読んでいてハッとしたことがあったのですが、以下の作家柴門ふみさんのお言葉に妙に納得してしまいました。


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<夫という人物は、冷蔵庫に残された食品材料であります。つまり、こちらの腕次第で、おいしくも不味くもなるのです。

欠点が目につき、どうしようもなく駄目な材料に思えても、手を加え調味料で味付けすれば立派な一品料理になります。>

<限られたものの中で工夫して、そしてより高いものを目指していく――これが結婚生活の技術ではないでしょうか。>


既に購入した食品(=夫)の特性を変えたり返品はできないので、それが持ちうる最大限の美味しさを引き出せるように料理(=家庭生活を送る上での技術を磨く)をするということが大事なのですね。

今朝の痴話喧嘩を思い出したのですが、小さいことにこだわりすぎないで旦那を引き立てないといけないと思いました。


間違っても私は旦那を「返品」したくはないので・・・(笑)


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by kanagourmet | 2017-03-31 02:06 | 読書・映画鑑賞