AGO ~Art Gallery of Ontario~①

水曜夜にはArt Gallery of Ontario(通称AGO)に行ってきました。
通常AGOは5時半に閉館してしまうのですが、水曜夜だけは8時半まで開館していて、しかも6時以降は入館料フリーと聞いたので、早速行ってみました。
ここはカナダ随一の美術館で現代アートを中心に展示されていますが、西洋美術、彫刻も充実しています。

エントランスを抜けると木製のらせん階段がある広場に出ます。美術館では絵画だけではなく、美術館自体の建築を鑑賞するのも楽しいですよね♪
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まずは西洋美術部門から鑑賞したものをご紹介していきます。
ディプティクのコレクションはニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)よりも優れています。
METと比較すると格段に小さい美術館であるのに、この豊富さには驚きです。
中でもこちらは美しい象牙でできていて、大変細かい細工で目を奪われました。
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ところでディプティクとは古代ローマ時代から14~15世紀くらいまで作成された個人用の祭具です。持ち運びが可能なように、小さく作る必要があったため非常に細かい彫りが施されています。また祖先へ伝えるために素材として丈夫な象牙が頻繁に使用されました。
上記のディプティクは左がキリストの誕生を、右が最後の審判を表しています。

さて、西洋絵画のコレクションはルネッサンスと私が大好きなフランドルバロック美術が多く展示されていました。
中でも目を引いたのはこちらの絵画です。
贅沢な空間の使い方ですよね。遠くから見ると不思議と3D に見えます。
ルーベンス 「The Massacre of the Inocents(幼児虐殺)」
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これは新約聖書の「マタイによる福音書」に現れるエピソードで、新しい王(キリスト)がベツレヘムに生まれたと聞いておびえた、ユダヤ人の支配者ヘロデ王がベツレヘムでどの子供かわからないキリストを抹殺するため、手当たり次第に2歳以下の男児を全て虐殺させたとされる事件です。
題材はとても残酷なものですが、この絵画にはフランドルバロックの特徴が明確に表れています。
ダイナミックな構図(3Dに見えたのもこのためですね。)、動的な肉体美、輝く色彩全てが織り込まれています。
ルーベンスは16世紀末から17世紀前半まで活躍したフランドルバロックの代表画家で、この作品はルーベンスがイタリアに滞在していた時、イタリアバロック画家のカラヴァッジョから受けた影響も見て取れます。ちなみにルーベンスは画家兼人文学者兼外交官でもありました。非常に多彩な人だったんですね。
d0235123_14474818.jpgこの絵画についてさらに調べてみました。1611年にルーベンスがこの絵を完成させてから、オーストリアの富豪の家を転々とし、イギリスの伯爵の手に渡り、2002年にカナダの美術収集家であるKenneth Thomsonが117億円で購入したそうです。(左図の方、館内写真を撮影しました)
彼は世界のMedia Ownerとして知られる人で、The Timeなどを傘下に収めるThomson Reutersは彼の父親が設立者です。フォーブス誌によるとカナダで最も裕福な家庭で、世界では9番目に資産がある人だそうです。ちなみにAGOの西洋美術とカナダ美術の多くは彼のコレクションです。

さて次の展示のご紹介です。AGOでは印象派の絵画も充実していました。いつ鑑賞しても明るい気分になれますね。
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館内には私がまたしても好きなスタイルの抽象画がありました。
ジョルジョ・デ・キリコ 「イタリア広場」
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キリコは形而上絵画の創始者でシュルレアリスムの先駆の画家です。シュルレアリスムとは19世紀前半にヨーロッパで流行した絵画の形式で、日常世界の背後にある世界を絵画で表現することです。全く関係ないモチーフを絵画内で組み合わせることにより未知の領域を広げて、個人の無意識の世界や夢が描かれています。
この形式の絵画は不気味で奇妙な作風なのですが、私はとても大好きです。
というのもこの画家たちの伝記と併せて絵画を鑑賞すると、絵画に画家たちの夢や欲望が暗に描かれていて、通常表面には表れない人間の素の精神を読み取ることが出来るからです。
他のシュルレアリストであるデルヴォーやマグリットの絵画もとても奥深く、大変面白いです。

AGOの西洋美術で最後の紹介はこちらです。
ピカソ 「座る女」
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20世紀最大の画家と言われたピカソの作品です。ピカソの初期の絵画はキュビスムと呼ばれており、これは3次元の物体を2次元で再現する方法で、物体を円錐、球、円筒に解体して描写しています。だからCubeからキュビスムとなったのです。
この絵画は解説を読まないと判読不可能なのですが、ピカソとピカソの妻オルガ、6歳の息子が描かれています。当時複雑な家庭環境にあり、決して幸せではなかったこの3人の家族の複雑に絡み合う人間の感情が妻オルガを中心に灰色やキュビスム的に描かれた曲線により表現されています。

さて、西洋絵画セクションの鑑賞は一旦こちらで終了し、2階に移動してこれからはカナダ美術の鑑賞です。
AGOの2階は木製のオープンギャラリーが広がっており、 鑑賞者の目を楽しませてくれます。
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外から見ると、このような美しい曲線のフォルムを描いているのがわかります。晴れていれば陽に当たる面積が広いので、さらに明るく見えますよね。(こちらの写真はAGO公式HPよりいただきました。)d0235123_158592.jpg

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by kanagourmet | 2013-03-02 02:06