アートで巡るワシントンDC 2日目

2日目は朝からNational Galleryに行きました。スミソニアン美術館に属する施設は全部入場料が無料と言うのが驚きです。
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ここは13世紀から現代までの絵画や彫刻を中心とした西洋美術が所蔵されており、作品数は11万6千点にもなるそうです。西館は西洋絵画と彫刻、東館は現代アートが展示されています。1日で見て回るためにはハイライトに絞って見学する必要があります。入口では日本語の音声ガイドを無料で貸出しているので、それを手にして巡ります。
エントランスの円形広場はとても開放感があります。
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丸1日西館を鑑賞して心に残った作品をご紹介します。
d0235123_1122276.jpgレンブラント 「自画像」
レンブラントはフェルメール、ハルスと同じく17世紀を代表するオランダ3大画家の1人です。17世紀のオランダは東インド会社を経営し、植民地主義を邁進させ、海上貿易で成功を収め、世界で最も裕福な国家でした。そして国王や裕福な商人たちがパトロンとなり画家に注文をし、絵画を奨励してオランダ絵画も最盛期を迎えました。レンブラントの絵画の特徴は独自のインパストという厚塗り法で絵画に抑揚をつけていることと、人間の内面を描き出しているというところです。特に後者についてはこの自画像を見るとはっきりとわかります。
彼は自画像を多く残しているのですが、それぞれ全く写りが異なります。若かりし頃から年配までの自画像は自信に満ち溢れている一方で60歳頃のこの自画像はそんな影は見られず、やつれたレンブラントが描かれています。ちょうどこの時レンブラントは自身の浪費癖がたたり、破産をしてしまいます。そして妻、息子にも先立たれ、窮地に陥っています。彼の人生の悲しみがこの絵画に現れています。
この絵画の前に立つとレンブラントと目が合います。私はちょっと恐れおののいてしまう気がしましたが、レンブラントは鑑賞者に人生の教訓を今にも語りだしそうです。
d0235123_11564683.jpgラ・トゥール 「マグダラのマリア」
このテーマはラ・トゥールが得意としており、メトロポリタン美術館でも同じタイトルの絵画があります。「炎の達人」と言われ、炎を中心に置いた作品が多く、永遠に続きそうな静謐な深夜の一瞬を描いています。ラ・トゥールは炎を世の儚さの象徴として描いています。マグダラのマリアとは聖書論争はありますが、娼婦だったと言われており「懺悔」の気持ちを込めて描かれることが多い聖人です。彼女はこの絵の中で過去を悔い改めています。骸骨は死を表し、骸骨に手をのせる行為はその人の信心深さを表しています。ここからは私の推測ですが、この絵画は懺悔のあまり死も辞さないマリアの心情を表している作品なのではないかと思いました。
絵画が表しているものや画家からのメッセージを想像しながら鑑賞するのってとても楽しいなと思います。絵画は「大人のなぞなぞ」です(笑)
d0235123_12542185.jpgコプリー 「ワトソンと鮫」
これは私が深く共感させられた作品です。
ワトソンは実在した人物で14歳の時にハバナで漁に出かけた時にサメに襲われてしまい、片足を失ってしまいます。その後留学でロンドンを訪れていたワトソンは、この絵画の作者であるコプリーと出会います。2人は友達となり、コプリーがワトソンに贈った絵がこれでした。これは後にロンドン市長となるワトソンの大のお気に入りで、彼が設立したロンドン市内の病院に長いこと飾られていたようです。
でも疑問が残ります。悪い思い出であるはずのサメに襲われた出来事を絵画にして大事にするのでしょうか。
その理由が説明されていたのですが、ワトソンはその後片足がないというハンデを抱えながらも、人一倍努力を重ねて大成します。後に振り返り自分が頑張ることができたのもこの片足がなくなった経験からだと思うようになり、サメに襲われた経験は逆説的にも彼にとっては、大事な経験だったというわけです。
病院にこの絵が飾られていたのも、病気から打ち勝って欲しいというワトソンから患者へのメッセージが込められていたそうです。
すごくポジティブな方ですよね!

さて、絵画鑑賞に疲れた頃には1階にあるガーデンカフェで遅めのランチを食べました。ここは美味しいととても評判で、実際私も大のお気に入りとなり、次の日もリピートしてしまうのでした。
噴水の周りに席が置かれており、ビュッフェ形式です。野菜のメニューが豊富でした。
ニース風サラダと有機にんじんとターニップのサラダがとても美味しかったです。ワインのおつまみになるチーズも5種類ほど用意されていました。
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ほろ酔いのあとはミュージアムショップへ。
美術のデパートですね!ここで1日過ごせるかもと本気で思いました。本を立ち読みするのも本当に楽しいです。
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このあとはフィリップスコレクションに行きました。
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ここはアメリカ最初の個人が有する現代美術館です。美術館は所有者であったダンカン・フィリップスの邸宅を改装しています。フランスの印象派絵画を中心に3000点以上を所蔵しています。

なんと言ってもここの代表作品はルノワールの「舟遊びの昼食」です。
やっと出逢えました!!
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私のニューヨークの部屋のリビングルームにも大きなこの絵画を飾っています。
やはり印象派の絵画は色彩が豊かなので、こういう絵を飾ると部屋がとても明るくなります。

この絵はイル・ド・フランスのシャトゥーという街のセーヌ川に浮かぶ島にあるレストランが舞台となって、そこで楽しそうに昼食をとる男女が描かれています。
今にも笑い声や食器が触れ合う音が聞こえてきそうですね。

フィリップスコレクションはナショナルギャラリーの規模とは全く異なり、とてもこじんまりとした美術館です。
こんなふうに絵画とじっくり向き合うこともできます。贅沢なひとときですよね。
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ゆっくり絵画鑑賞をしたあと、今晩はDC在住のコリアンアメリカンのGraceとディナーに行きました。
彼女がフィリップスコレクションまで車で迎えに来てくれて、DC市内をドライブしながら案内をしてもらい、美味しいと評判の韓国料理屋さんに連れて行ってもらいました。
彼女はIreneと並んで、私が「英語で話していても日本語を話しているかのように感じる」くらい一緒にいて気楽な友達です。車の中もレストランでも笑いっぱなしでした(^.^)
彼女はUS議会のジャーナリストで、アジアの国際関係を担当しています。最近書いた記事の話やプライベートの話をしてとても楽しいひと時でした。Graceは大学院留学で初めてアメリカに来たのですが、そのままアメリカ議会で働くこととなり、現在6年目だそうです。こちらの就職事情は私もわかっていますが、留学でいきなり来た外国人が永住権までサポートしてもらってアメリカで働くというのは物凄く稀です。彼女の努力は並大抵のことではなかったと思います。d0235123_13471512.png
楽しい夜をありがとう、Grace♪

今日も美術を通して、様々なことを考えて実り多き1日でした。
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by kanagourmet | 2013-02-15 14:39