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アートで巡るワシントンDC 1日目

先週末は前日に決断を下し、1人でワシントンDCを2泊3日で旅行してきました。
美術館や博物館ばかりを巡ってきたのですが、毎日アートに没頭してとても楽しかったです。
ニューヨークに住んでいると主な旅行先は飛行機に乗って南米方面やカナダ、アメリカ国内が主流ですが、「灯台もと暗し」と言いましょうか、ワシントンDCは芸術溢れるとてもおしゃれな街であることに気がつきました。とても楽しくて3日間はあっという間に過ぎました。

宿泊したのはこちら、Hotel Lombardyです。何でもワシントンDCは極めて出張者が多いので、平日のホテルのレートはとても高く、対して休日はその半額ほどになるとのことです。
このホテルも4つ星であるのに$90/泊とお得な料金でした。
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まずはじめに行った美術館は国立女性芸術美術館です。ここは世界で唯一の女性の芸術家にスポットを当てた美術館です。アートで巡るワシントンDC 1日目_d0235123_1130590.jpg
設立者のWilhelmina Cole Holladay氏(左写真の女性)は美術館に展示されているのは男性芸術家による作品ばかりであるということに疑問を持ち、女性芸術家による作品の収集を始め、1987年にこの美術館が開館しました。氏は16世紀のヨーロッパ絵画から現在に至るモダンアートまで約4,000点を収集し、大体その1/15くらいがこの美術館に展示されています。(残りは貸し出されていたり美術館の倉庫に眠っています。)
この美術館はとてもこじんまりとしているのですが、館内はとてもきらびやかです。
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エントランスにいた受付の女性に色々質問していたら、「そんなに興味あるなら私が案内してあげる」ということで、即興で美術館ツアーをしていただきました(^_^)
ビアンカ、本来の受付業務は大丈夫なのでしょうか(笑)??

アートで巡るワシントンDC 1日目_d0235123_11473262.jpgフローダ・カーロ 「レオ・トロツキーに捧げた自画像」
これはメキシコ現代画家であるフリーダのかなり有名な作品です。
旧ソ連の革命家、レオ・トロツキーはスターリンとの権力闘争に敗れ、トルコ、フランス、ノルウェーと8年間逃亡生活を続け、メキシコに亡命してきます。フリーダはメキシコ政府からの要請により、トロツキーを自分の家に匿います。そして30歳も年齢が離れているのに禁断の恋に走ってしまいます。この自画像はトロツキーにプレゼントした絵画で、フリーダは彼への手紙を手に持っています。革命家と情熱的な画家の恋は実ることはなく、トロツキーはスターリンが送った刺客より暗殺されてしまいます。これは悲恋に見舞われた絵画です。
アートで巡るワシントンDC 1日目_d0235123_11593728.jpgジョージア・オキーフ 「Jack in the pulpit」
ニューメキシコ州を舞台にした20世紀の画家で、花や風景、動物の骨を優美に描いた画家です。1920年代には、「生きた芸術家にこれまで支払われた最高額」(当時の$25,000)の記録を出しますが、彼女はニューメキシコ州、サンタ・フェ郊外の掘っ立て小屋とも言えるような場所に居を構え、老後はひっそりとアーティスト活動に勤しんでいました。彼女の波乱に満ちた人生は「ジョージア・オキーフ」という映画にもなっているようです。是非観てみたいです。
アートで巡るワシントンDC 1日目_d0235123_13174076.jpgサラ・ベルナール 「ピエタ」
フランスの19世紀から20世紀前半に活躍した超有名女優であるサラは大変貧しい家に生まれ、両親がいないため幼少期を修道院で過ごします。少女時代は演劇の学校に通いつつ夜の仕事をして生計を立て、22歳で踏んだ舞台で、類稀なる才能を認められ、「聖なるサラ」と呼ばれ、19世紀で最も有名な女優にまでなります。彼女は演劇だけではなく彫刻家としての才能もあり、このピエタを制作したそうです。
アートで巡るワシントンDC 1日目_d0235123_13262475.jpgアルマ・トーマス 「オリオン」
ワシントンDCで育ったアフリカン・アメリカンであるアルマは美術の先生として働いていましたが、リタイア後に本格的に抽象絵画を描くようになります。フランスの画家アンリ・マティスの影響を受け、原色を多用し、激しいタッチの抽象画が彼女の主な作品です。この絵画は70歳の時に描いたものだそうです。
アートで巡るワシントンDC 1日目_d0235123_13345631.jpgPetah Coyne 「無題」
彼女は現在も活躍する彫刻家で、主にロウを主体とした作品が多いです。このドレスもロウで出来でおり、これが意味するものは「少女の夢」だそうです。何でも、幼少期はピンクのドレスのように夢見がちであるけれど、大人になるにつれて、社会的なプレッシャーや諦めなどで、幼少期の夢が硬直し、崩壊していく様子を溶けていくロウのドレスで表現しているとのことです。
これは自分の中で特に印象に残る作品で、鑑賞しながら自分の幼少時代を思い出しました。夢見がちな少女の心では、世知辛い世の中は渡っていけないですもんね(^_^;)

アートで巡るワシントンDC 1日目_d0235123_1352233.png館内のミュージアムショップでは女性画家に焦点を当てた美術本を発見しました。世界の女流画家の作品とその人の人生について書かれている本で、立ち読みしただけでもかなり興味深かったので、即購入しました。
絵画は画家の人生を映し出す鏡とも言えると思います。画家たちの足跡を追いながら作品を鑑賞するとまた見えてくることもあるのではないかなと思います。
ビアンカに案内してもらわなかったらこんなに深く鑑賞することはできませんでした。何でも話しかけてみるものですね!本当に感謝です。今から思い出してもかなりこの美術館は収穫が大きかったです。

そしてこの後はランチで偶然見つけたので、coco salaというモダンアメリカンのレストランに行ってみました。ここはチョコレートショップが食事も出しているという形態なのですが、とてもお店もお洒落で美味しかったです。フラットブレッドを食べました。
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そしてスミソニアン博物館まで歩いていく間にホワイトハウスを外から見学しました。
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今日は晴天でとても旅行日和でした。

その後はハーシュホーン美術館に行きました。
ここは19世紀後半からの現代美術だけを専門に所蔵する美術館です。設立のきっかけは実業家のジョゼフ・ハーシュホーン氏が40年以上かけて収集した約6000点の絵画や彫刻を寄贈したことにはじまります。
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かっこいいデザインのエスカレーターホール
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特に私の印象に残った作品はAi Weiwei氏のMoon Chestです。
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切り抜かれた円を覗くとこんな風になっています。
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私はこの作品を観て、少し立ち尽くしてしまいました。

というのも、私はこの1つ1つの木の箱を「人」に、そして切り抜かれた円は人の「心」に例えてみました。木の円は微妙にずれていて、片方からもう片方の端の円は見えないようになっています。これは人々のすれ違う心なのかなと私には思えました。最近心がすれ違った経験はあるかなと考えながらじっくり鑑賞していました。

現在美術は自分哲学で鑑賞するものだと思うので、鑑賞の仕方に正解も不正解もないです。
人の価値観や気持ちによって幾多の鑑賞方法があります。これが楽しさだと思います。

そして夜はジョージタウンに行き、散歩をしてカクテルを飲んでホテルに戻りました。
ワシントンDCの地下鉄。どの駅もとても綺麗でした。
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レンガ造りの可愛らしい家並みが続くジョージタウン
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今日は1日美術のことばかりを考え、とても充実した日でした。
あー幸せです ♥

2日目の記事に続きます。

by kanagourmet | 2013-02-13 14:47