カテゴリ:読書・映画鑑賞( 4 )

「男がつらいよ」絶望時代の希望の男性学

皆様GWはいかがお過ごしでしょうか?
今回は最近読んだ本をもとにGWのうららかな気候とは相反するようなテーマを取り上げてみたいと思います。

「男性学」というのがあるらしいです。

日本では1980年代後半ぐらいから研究が始まった比較的新しい学問で、女性学とセットなっています。
女性学は女性だからこそ抱えてしまう問題を扱う学問で、典型的な例としては、結婚や妊娠をきっかけにして仕事を辞めてしまうといった問題を扱っています。これと同様に男性学は「男性が男性だからこそ抱えてしまう問題」にアプローチする学問です。

私は旦那d0235123_08181575.pngと毎日色々なことを語り合うのですが、今まで男性とここまで正直に向かい合ったことはなかったので、働き盛りの男性がどんなことに課題を感じたり、考えたりしているのか大体見当はつくものの真意はわかりませんでした。背景を探り、自分なりの考えを持つべく、こんな本を手に取ってみました。
本の帯には「独身プレッシャー」「一家の大黒柱ストレス」「イクメン疲弊」等となんとも痛ましい言葉が並びます(T_T)
女性の人生設計には仕事に加えて結婚や出産などのライフイベントがあり、それらで大きく生き方が変わってきてしまいます。私は現代の女性の生き方は全方位的であることを求められているように思います。仕事も出来て、結婚もし、子育ても家事もきちんとこなしているというような絵に描いたような美しいワーママ像が求められていて、何か欠けているだけで劣等感を感じざるを得ない世の中で、それらの狭間で「生きにくい」と感じる女性が多いのではないかと思います。

対して男性の人生設計は就職、出世、定年退職と仕事を中心に一本道で生きることが世間一般的に良いこととされています。特に日本はこの一本道から何らかの理由で脱落したら復活が出来ない社会で、そこには個性も多様性もなく、そして常に競争が求められ息つく間もなく、男性は長く続くマラソンレースに参加せざるを得ないのです。

私はいつも本を読むときは自分に置き換えながら理解をしていたのですが、今回ばかりは私は男性ではないので、第三者的な見方しかできないと思いながらも、読み進めていきました。

①仕事がつらいd0235123_00295166.jpg
いきなり悲しいデータとなりますが、平成24年版自殺対策白書(内閣府)によると男性の自殺率は女性の2.8倍なのだそうです。そしてその理由は健康問題を除けばほとんどが仕事やお金に関わるものだそうで、このことから男性の人生と仕事の強い結びつきが伺えます。

そして国際労働比較2014(労働政策研究機構)によると週50時間以上働いている男性は日本では38.8%ですが、アメリカでは15.5%で、オランダにいたっては1.1%というデータがあります。世界的にも日本の男性の労働時間が他国と比べていかに長時間であるかが示されていました。
その背景には「働き盛り」や「今が頑張りどき」といった言葉で扇動されて「自己犠牲」が評価される日本の会社組織において、男性たちもそういう風潮に迎合してきたということが挙げられます。しかしながら世界的に見ると超特殊で、日本の男性の生き方の中心は仕事になっています。
2007年問題 団塊の世代が大量退職を向かえる2007年に事業の継続性や技術の伝承に対する危惧という点から2007年問題が注目されましたが、男性学では違う観点で捉えています。それは昭和的男らしさに縛られて、仕事一筋で生きてきた人たちが地域や家庭に戻ってくることで発生する様々な問題に焦点を当てています。仕事中心に構成されていた生き方を再構築出来ずに孤立してしまう男性高齢者が多いことが指摘されています。

②結婚がつらい
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恋愛結婚が一般的である昨今は結婚するためには恋愛をしなければいけなくて、それが若者の義務になっています。(私も相当苦労しました)依然として「男性はリードする側、女性はリードされる側」「恋人がいない=能力が低い」という風潮があるため、幼い頃から競争を宿命づけられてきた男性により深刻な影響を与えているのです。

90年代以降になって恋愛において男性に求められるのは頼りがいだけではなく「やさしさ」も求められるようになりました。本書によると強引と優しさの間を、相手の気持ちを察しながら柔軟に往復できるような男性がモテる時代になったとのことで、こんな器用さまで兼ね備える必要があります。
そしてなかなかご縁がないまま40代を迎えた場合、「本人に何かしらの欠陥があるに違いない」という偏見に苛まれ、恋愛以上に既婚/未婚のステイタスは能力の高低と結び付けられて考えられてしまいます。(これは女性も同じかもしれません。)これは非常に残念なことです。
素直になれない男性たち 男性はなかなか頭を下げることができません。それは男性は見栄っ張りで競争するように育てられてきたため、男性はどのようなことでも人より上回らなければいけないと考える傾向があるからです。謝ったらなんとなく女性に負けた気がするという見栄の問題が男女間にも生じています。

男性の生きづらさの正体をまとめた本書はこの他にも様々な問題を取り上げていますが、書面の関係上、私は仕事と結婚における男性のジレンマを挙げました。

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私がこの本を読んでいる間、脳裏に流れていたのはSMAPの「世界に一つだけの花」でした。
一人一人違う種を持っているので、その花を咲かせることに一生懸命になればいいのに・・・と思います。けれども実際、現実に目を移してみるとそう言えない事情がそれぞれありますよね。


ちょうど今週、GW前に会社の女性の先輩とランチしながら話していた話題が、「夫が家事と育児をしない!」ということでした。どうやったらやってもらうのかという押し問答が永遠に続くという話で、我が家もまさに該当すると思いました。(もともと私が家事を引き受けるということで結婚はしていますが、少しは手伝ってもらいたいなという気持ちもあったりします(^_^;))
ただ、①で書いたように男性も競争社会で揉まれながらプライドと志を高く持って働いていることを考えると、主婦の延長線上で働いている私としては、多くを望むのは可哀想なのではないかと思いました。
女性は仕事も出来て、結婚もし、子育ても家事もきちんとこなしているというような完璧を求められる昨今ですが、男性側も仕事もして、家事も行い、イクメンで・・・という完璧像を求められ、生きにくさを感じているのだと思いました。

②については婚活している時に、私はいかに男性の買い手市場であるかということを痛感していたため、「男性はいいよな」と思っていたのですが、男性としてのステレオタイプに当てはめられて自分らしさを押し殺している男性もいるのだと実感しました。確かに女性は理想の男性像を描きすぎて、実際の男性に多くを求め過ぎかもしれません。

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本書を読んで私が男性の生きにくさの根本にあると思ったことは2点あります。
まず1点目が日本は特に社会的流動性が低いことです。「社会のレール」というものがあって、基本的にそこから1度でも外れたらもう戻ることはできません。そして社会的な層が固定されてしまいます。男性の人生は女性と比較して特に人生と仕事の結び付きが強いため、40年間休むことなく働かなければいけないという呪縛とも言えるものを持っていると思いました。

少し立ち止まる勇気というのも必要ですし、そうして色々な経験を積んでまた戻ってきた人が活躍できるような土壌が形成されていくべきだと思いました。

2点目は1点目とも関係しますが多様性を認めない社会であることです。
男性で仕事命な人も仕事はルーチンで趣味の世界に生きる人等様々な生き方があってもいいと思います。男性はがむしゃらに働かなければいけないというのは押し付けだと思いました。そういった意味で昨年ころから声高に言われている「働き方改革」は有効な解決策の一つですし、またLGBTの支援活動も性別によるステレオタイプを超えてダイバーシティー的思考を拡大する素晴らしい動きだと思います。

最後に本書で多様性について述べられている箇所で、私がとても心に残った箇所がありました。
それは「自分の中の多様性を認める」ということです。(P207)

様々な個性があるはずなのに、男性だからという理由で自分の生き方を決めつけていないでしょうか。性別の枠にとらわれずに何でもやりたいことをチャレンジしてみるのが大事だと筆者は述べています。
もちろんやり遂げる過程で気が変わっても平気で、何十年に渡って同じ意識と行動を一貫して続けなければならないとしたら人生はとても息苦しいものになってしまいます。
多様性を認めるということは、単に色々な人の価値観を受け入れるということではありません。
自分の中にも多様性は存在しているので、それを無理に男性という1つの形に押し込める必要はないとのことで、これは男性に限らず、女性にも当てはまることだと思いました。

本書を読んで、男性の置かれている立場を理解することが出来たので、仕事に邁進しすぎているうちの旦那に私は少しは優しくなれるかなと思った次第です(^_^)

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by kanagourmet | 2017-05-04 01:09 | 読書・映画鑑賞 | Comments(0)

「マギーズ・プラン」夫、「返品計画」の感想

※この記事は映画のネタバレをしています。


交際0日婚は良いようで悪い、悪いようで良いものだと思います。


先日の週末の午後、またいつものように掃除方法をめぐって旦那と痴話喧嘩をして私が瞬間湯沸かし器になりそうだったので、買い物に行くと口実を作って1人で自転車で奥渋(渋谷と代々木上原の間のあたり)まで行きました。週末は2人でいつも一緒にいるのですが、こういう時は数時間でも離れた方が得策です。

ここは独身時代の色々な思い出が詰まった場所です。レストランから雑貨、グローサリーまで、オーナーの個性が光るおしゃれなお店が軒を連ねています。

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特にこの場所で好きなのがUPLINKという30人くらいしか入ることが出来ない極小シアターなのです


ここで全国放映されていない、キラリと光るマニアックな逸品映画をこじんまりと1人で観るのが私の独身時代の密かな趣味でした。


この日観たのは今の自分にピッタリの作品「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」。

夫の「返品計画」を企てた女性の話というのだから笑ってしまいますよね(^_^)

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ニューヨークのダウンタウンを舞台に夫と妻、そして前妻の三角関係を描いた作品です。

一見ドロドロしがちなこのテーマは、ダメダメなんだけどどこか憎めない登場人物たちと美しいニューヨークの冬の描写が背景となり、とても軽やかに描かれていました。

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マギーはニューヨークの大学で美術を教えるアラフォーの講師です。今まで恋人と半年以上続いたことがないという恋愛音痴であるが故、自分には結婚が合わないと諦めています。でもどうしても子供は欲しかったので、大学時代からの男友達である数学者のガイに協力を仰ぎ、試行錯誤して人工的に授かる術を試しています。

そんな時、勤務先の大学で文化人類学者のジョンと知り合います。彼は大学で教える傍ら小説家を目指しており、意気投合したマギーが彼の作品を読んで感想を言い合うことで2人は一気に急接近し、恋が始まります。

ただこの彼は既婚者だったのです。

ジョンはコロンビア大学で学部長を務める超キャリアウーマンの妻ジョーゼットとの関係がうまく行っておらず、子供たちの世話から日常の家事までを1人でこなす主夫の生活に嫌気がさしています。

そこで離婚を決意し、晴れてマギーとジョンは夫婦となるのです。


d0235123_01370909.jpg3年後にお話は移ります。マギーは結婚後すぐに出来た子供と、仕事を辞め小説家を夢見る夫と3人で生活をしていますが、「何かが違う」ということを感じ始めます。家事もこなしながら一家の主として家計を支えるために働き、マギーはとても忙しい毎日を過ごしています。夫は小説を書いてはいるものの空回りしていて、ヒモ夫なわけです。

毎日深刻な喧嘩が絶えず、マギーは「この結婚は失敗だった」と気が付くのです。

そんな中前妻ジョーゼットと夫の間の子供2人の世話を通して前妻とマギーの間に友情が生まれます。マギーはジョーゼットは単なる非常で冷徹なキャリアウーマンではなく本当は夫のことを今でも愛している心優しい人なのだと気が付きます。そして夫も友人として前妻と付き合っていますが、まだ心の底では前妻のことが忘れられていないのだと感じます。

それで思いついたのが前妻に夫を「返品する」計画です。d0235123_01372988.jpg

前妻に計画を打ち明けたところ「調子がいい」と激怒されるのですが、自分の気持ちに正直になり計画に賛成することにします。

そしてマギーは前妻と夫が鉢合わせして、2人が昔を思い出せるような環境を作る計画を練り、実行に移します。

「返品計画」は成功し、夫はマギーに前妻と元に戻りたいと告白します。

物語最後の場面が印象的で、意外な結末で物語は終了します。


マギーはこうしてシングルマザーとなり、結婚と離婚を通して運命は全て受け入れることを誓うことを考えながら娘とブルックリンのプロスペクトパークでアイススケートをしています。

その時ふと気が付くのですが、幼い娘がやたらと数字を覚えるのが得意なのです。

もしかしてそれって・・・!?運命は違う方向に向いていた!と思ったときに、数年前人工的にシングルマザーになる計画に理解して提供してくれた男友達の数学者ガイが前に現れて、事実に気が付くという大波乱の展開で映画は終了します。


d0235123_01373207.jpgこの映画を一言で表すと、「大人になりきれない大人たちの茶番劇」です。大人たちの気まぐれに付き合わされる子供たちの気持ちはどうなるの!?と言いたいところですが、それは映画の主題ではないので、ほとんど描かれていません。

「みんな、しっかりしてよ」と言いたくなる内容かもしれませんが、それは脚本家の腕が成せる技なのでしょうか、不思議とマギーやジョンに親しみを持ってしまいます。人生に空回りしているどこか憎めないキャラクターなのだと思います


男性との交際が半年以上続いたことがないから、結婚は諦めてシングルマザーになりたいというマギーの考えは非常に勇気がいることです。私も婚活難民だった頃、何度も自分の結婚を諦めましたが、結婚を通り越して子育てをするなんて私には考えも及びませんでした。日本ではあまりまだ浸透していないことなのかもしれませんね。

また前妻との子供を現在の妻が前妻と協力しながら面倒を見るということも日本ではあまりないのではないかと思います。


しかしながらニューヨークは断然東京よりも離婚率が高く、男女ともにマインドが非常に独立しているため、邪念などはなしにしてステップファミリーの関係を楽しんでいる人たちもいました。

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以前、ホームパーティーで知り合ったアメリカ人女性はまさにマギーと同じ状態だったのですが、「子供たちを夫婦2人で見るよりステップファミリーとしてそれぞれの再婚相手も含めて4人で見たほうが人数が多いし、意見も偏らなくていい」と言っていたのにはとても驚きました!発想の転換とはまさにこのことだと思いました。


所変われば家族観も変わるものですね。「こうあるべき」論を押し付けあうのではなく、お互いが心地よいと感じる関係性を作っていくことが大事なのだと思いました。


この映画の公開はまもなく終了しますが、20177月頃にDVDレンタルが開始されるそうです。


映画鑑賞後は夕食の食材を買い帰宅すると、うちにも大人になりきれない大人がいました(私も同じくなりきれていないのですが。笑)

最近コラムを読んでいてハッとしたことがあったのですが、以下の作家柴門ふみさんのお言葉に妙に納得してしまいました。


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<夫という人物は、冷蔵庫に残された食品材料であります。つまり、こちらの腕次第で、おいしくも不味くもなるのです。

欠点が目につき、どうしようもなく駄目な材料に思えても、手を加え調味料で味付けすれば立派な一品料理になります。>

<限られたものの中で工夫して、そしてより高いものを目指していく――これが結婚生活の技術ではないでしょうか。>


既に購入した食品(=夫)の特性を変えたり返品はできないので、それが持ちうる最大限の美味しさを引き出せるように料理(=家庭生活を送る上での技術を磨く)をするということが大事なのですね。

今朝の痴話喧嘩を思い出したのですが、小さいことにこだわりすぎないで旦那を引き立てないといけないと思いました。


間違っても私は旦那を「返品」したくはないので・・・(笑)


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by kanagourmet | 2017-03-31 02:06 | 読書・映画鑑賞 | Comments(2)

「ホリデイ」の感想

非常に素晴らしい映画です!!鑑賞後の晴れ晴れとした感覚が忘れられないです。
私はいつも映画を観る前にwebであらすじの事前調査をくまなく行うので、いつも鑑賞後に「失敗」と思うことはないのですが、この作品は今まで観てきた映画の中でもトップ3に入るくらい、大好きな映画です。(ちなみに今のところ残りの2つは「そんな彼なら捨てちゃえば」「私の愛情の対象」で、どれも女子向け恋愛映画ばかり(^_^;))
そうだ、このDVDを買うことにしよう!

d0235123_11271925.jpg最近私は「心の風邪」を引いてしまい、しばらく1人で「心の休暇とリハビリ」が必要となってしまいました。

もちろん誰も悪くなくて、全ては自分自身の問題なのです!
その為自分の殻にこもって平日夜と休日は自宅でDVDを観ながら、ゆっくりと色々な出来事を振り返っています。
「休暇」つながりで観たいと思ったのがこの作品です。思い起こせば8年前、当時通っていた社会人大学で仲良くなった女子たち4人のホームパーティーでこの作品を観て、みんなでほっこりと暖かい気持ちになったのを思い出します。
あれから時が過ぎて私以外みんな結婚して1人はドバイへ、もうひとりはスペインへ。そしてもうひとりの子は福岡に行き、残念ながら疎遠になってしまったけれど、時の流れを感じ8年前を思い出しながら、物語のはじまりはじまり・・・

♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥

アマンダ(キャメロン・ディアス)は、ロサンゼルスで映画の予告編製作会社を経営しています。彼氏と同棲中だったのですが、彼の浮気をきっかけに二人の関係を解消します。
欲しいもの全てを手に入れて、満足であるはずの生活だけれど、どこか物足りなさを感じているアマンダ。キャラクターは豪快なアメリカ女性のステレオタイプそのものです。

そしてロンドン郊外に住むアイリス(ケイト・ウィンスレット)は新聞社で結婚に関するコラムを執筆しているライターです。3年間もの間同僚と友達以上恋人未満の関係を続けていたのですが、彼が他の同僚と結婚することを知り、大失恋をしてしまいます。
言いたいけれど、勇気がなくて本当の気持ちを言い出せないまま内に篭ってしまう、繊細な女性です。

そんな年の暮れも迫ったある日、インターネットでアイリスがロンドン郊外のコテージの借り主を探していることを知ったアマンダは2週間の休暇期間、お互いの家を交換して生活するホームエクスチェンジで生活環境を変えることによって、立ち直りのきっかけにしようと申し出ることから物語は始まります。

d0235123_15181830.jpgアマンダは極寒のロンドン郊外に降り立ち、あまりにもロサンゼルスの豪華な生活との違いに戸惑い、1日で帰国を決意します。
しかしながらたまたま訪れてきたアイリスの兄と知り合います。彼は2年前に妻に先立たれ、2人の娘の父親として立派に役目を果たしており、そんな彼の家に訪問して、今までなかったような心が満たされる感覚を覚えます。
はじめはここにいるときだけの期間限定の恋と思っていたけれど、彼の真摯さや子供たちがとてもアマンダになついていることから、昔から抱えていた家族関係の問題やロサンゼルスでの満たされているようで満たされていない生活を見直し、自分の求めていたものはここにあるのではないかということに気づきます。
子供たちの「パパが初めて女の人を家に連れてきて嬉しい」というセリフが幼いながらもお父さんのことを心配していたということでホロリときました。
さらにはじめてアイリスの兄の家に訪れたとき、4人で寝転んでプラネタリウムに見立ててある天井を見上げるシーンが私はとても大好きで、アマンダの心の刺が次第にほころびていくのがうまく表現されていました。4人の心が通じたようで、このシーンで涙が出てきました。

d0235123_15171463.jpgアイリスは今まで見たことのないような豪奢なロサンゼルスの邸宅に滞在することになり、心踊ります。近所に住む昔映画監督をしていたという老人と友人になり、ロンドンでの出来事を彼に話し、対話を通じて自分を見直していきます。
「人間は誰でも自分の人生を生きていて、自分が人生の主役なんだよ。君はそれを忘れていないかい。」という言葉は私にも思い当たる節があって、スクリーンの中のアイリスと共にハッとしました。
そしてアイリスもアマンダの自宅に訪ねてきたアマンダの友人からの猛烈アタックを受けます。ロンドンで片思いしていた人と全くタイプが違う彼だけれど、次第に心の距離を近づけていきます。

そして、この物語はバカンスでの恋にスポットライトが当てられがちですが、私はそれに追加してアマンダとアイリスの友情についても触れたいと思います。
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この2人の女性は一見正反対の性格に見えます。物語の冒頭で失恋したときアマンダは相手を殴ったのに対し、アイリスは相手に何も言えませんでした。
けれど2人の人間としての根本は非常によく似ているのではないかと思いました。
2人とも「思い立ったら吉日」のように一見行動力はあるものの、実は心の傷を抱えていて、ものすごく繊細で臆病で本当の意味での新しいステップに中々踏み出せないところなどが共通点で、もし2人が近くに住んでいたらすごく良い友達になったのではないかと思います。
他人に表面上見せている部分と実際の奥深い部分は異なるという人はかなり多いのではないかと思います。(二重人格とかそういうネガティブな意味ではなくて)これは私も結構そうなのではないかと思い、現在は心のリハビリ期間中なので、よくよく考えてみました。
一見正反対に見えるので合わないように思えたとしても、本音で対話してみると実は似ている部分がたくさんあってしっくりくるということはありえるのだと思います。

話は映画に戻るけれど、そんな表面上は正反対であっても実は根本では似ている2人だからこそ、それぞれの身近にいる男性と上手くいったのではないかという私のヨミです。
最後の全員が集まってクリスマスパーティーをするシーンがとても好きです。この映画を観た人全員一致でこのシーンに心温まるはずです。
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変化を恐れて新しいステップがなかなか踏み出せない時、ドラマチックに背中を押してくれるのが、旅なのでしょう。
本作品は美しく女性の新たなステップを軽やかに描いていました。

この作品を観ながら私はホットココアを手にしていました。寒い冬が舞台になっている映画なので、ついつい温かい飲み物に手が伸びてしまいます。
だけどこのホットココアはカカオ100%なので一見スウィートだけれどとても苦いのです。
少し甘くしたくてミルクを入れようと思ったけれど、自身の荒治療のため苦いまま飲むことにしました。
自分で甘いミルクを注ぐのではなくて注いでもらえるような今後に期待して・・・♥
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by kanagourmet | 2016-01-23 15:53 | 読書・映画鑑賞 | Comments(0)

「マイ・ブルーベリー・ナイツ」の感想

d0235123_19214969.jpg自分にとっておそらく衝撃的であろう出来事は大きければ大きいほどすぐにはその大きさが分からず、受け止められない。

言われた時に唖然として硬直してしまうのだと思う。

そして数時間経って実感が湧いてきて、大変なことだったと気がつく。
涙腺が緩んでしまうようで交差点で信号を待っている時も、スーパーでお会計をしている時も掃除している時も自然と涙が出てきて、目の前が見えなくなってしまう。

そして立ち直れるまで時間がかかるのだ。



そんな経験を私は今まで2回ほどしたことがあります・・・

この「マイ・ブルーベリー・ナイツ」はウォン・カーウァイ監督が描く心に傷を持った男女の恋愛物語。出演はノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン。
映画のどのショットを撮ってもポストカードになりそうなおしゃれな映像とロマンチックな音楽が重いテーマを軽いタッチに仕上げてくれています。
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冒頭で主人公のエリザベスは失恋をしてしまいます。そして彼とよく来ていたカフェで店主のジェレミーと知り合います。

大切な人にどうやって別れを告げる?もう本当に望みはないのだろうか…

スクリーンの中のエリザベスに感情移入して、私まで悲しさがこみ上げてきました。

「チーズケーキ、アップルパイ、ピーチ・コブラは毎日売り切れ。でもどうしてもブルーベリーパイだけは売れ残りなんだ。ブルーベリーパイの味のせいではないのだけれど」というジェレミーの言葉にブルーベリーパイと自分を重ね合わせて、ブルーベリーパイを食べる、エリザベス。
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この映画ではエリザベスの心の傷が落ち着いていく場面ごとに、このブルーベリーパイにアイスが溶けていくシーンが出てくるのですが、これが映画の象徴的な部分です。

そして、エリザベスは心の傷を癒すためにニューヨークを離れて約300日間のアメリカ横断の旅に出ます。(このあたりは先日観た「食べて、祈って、恋をして」にそっくり)
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メンフィスから南部を経由してラスベガスまで、お金がないため昼間はカフェで、不眠症になったため時間を潰すため夜はバーで働きながら旅をします。
そこで様々な人たちとの出会いを通じて、新しい一歩を踏み出す強さを身につけていきます。
一旦破綻しながらも、本当は強い愛で結ばれていた夫婦の物語や、断絶されたように見えながらも絆は残っていた親子の物語を客観的に見るにつれて、エリザベスが「愛とは何か」ということを考え、気付きを得ながら、時間を掛けて成長し、立ち直り、新しい恋へのステップを着実に踏んでいきます。
最後はニューヨークに戻り、前の恋人との思い出の場所に訪れ、旅行前は涙にくれて眺めていた光景を、笑顔で見つめ直せるようになります。
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「次の道へ渡るためにあえて回り道をしたくなった」ということで決心したアメリカ横断旅行。
「他人は自分を映す鏡だ」と悟ったラスベガスでの出会い。
そしてニューヨークに戻ってきてからは「道の反対側で待っていてくれる人に気がついたから、私はそのために新たな1歩を踏み出す」ということで最後は、ブルーベリーパイを食べに行っていたカフェの店主と恋人同士になり、ハッピーエンドを迎えるという、心温まる映画でした。

「愛と憎しみは表裏一体」と言われるけれど、私が冒頭に挙げた2回の経験を通して感じたことは、大きな愛情と自分を差し置いても相手がとても大事であるという気持ちがある場合、振られたとしても愛情は無念という気持ちを経由して相手への感謝の気持ちへと昇華します。
皮肉なことに恋愛は終わったときにその真価が分かるのではないかと実感しました。
そしてもう2人で会うことはないかもしれないけれど、大好きだった気持ちは鮮明に残っていて遠くで相手の幸せをいつでも祈っています。「好きになれてよかった!」という清々しい気持ちとともに。

最後のエリザベスの笑顔を観て自分の経験についても考えました。

ラズベリーパイのように甘くてほろ苦い思い出に浸りながら、素敵な映画に心癒された1日でした(*^_^*)

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by kanagourmet | 2016-01-21 23:00 | 読書・映画鑑賞 | Comments(0)