「男がつらいよ」絶望時代の希望の男性学

皆様GWはいかがお過ごしでしょうか?
今回は最近読んだ本をもとにGWのうららかな気候とは相反するようなテーマを取り上げてみたいと思います。

「男性学」というのがあるらしいです。

日本では1980年代後半ぐらいから研究が始まった比較的新しい学問で、女性学とセットなっています。
女性学は女性だからこそ抱えてしまう問題を扱う学問で、典型的な例としては、結婚や妊娠をきっかけにして仕事を辞めてしまうといった問題を扱っています。これと同様に男性学は「男性が男性だからこそ抱えてしまう問題」にアプローチする学問です。

私は旦那d0235123_08181575.pngと毎日色々なことを語り合うのですが、今まで男性とここまで正直に向かい合ったことはなかったので、働き盛りの男性がどんなことに課題を感じたり、考えたりしているのか大体見当はつくものの真意はわかりませんでした。背景を探り、自分なりの考えを持つべく、こんな本を手に取ってみました。
本の帯には「独身プレッシャー」「一家の大黒柱ストレス」「イクメン疲弊」等となんとも痛ましい言葉が並びます(T_T)
女性の人生設計には仕事に加えて結婚や出産などのライフイベントがあり、それらで大きく生き方が変わってきてしまいます。私は現代の女性の生き方は全方位的であることを求められているように思います。仕事も出来て、結婚もし、子育ても家事もきちんとこなしているというような絵に描いたような美しいワーママ像が求められていて、何か欠けているだけで劣等感を感じざるを得ない世の中で、それらの狭間で「生きにくい」と感じる女性が多いのではないかと思います。

対して男性の人生設計は就職、出世、定年退職と仕事を中心に一本道で生きることが世間一般的に良いこととされています。特に日本はこの一本道から何らかの理由で脱落したら復活が出来ない社会で、そこには個性も多様性もなく、そして常に競争が求められ息つく間もなく、男性は長く続くマラソンレースに参加せざるを得ないのです。

私はいつも本を読むときは自分に置き換えながら理解をしていたのですが、今回ばかりは私は男性ではないので、第三者的な見方しかできないと思いながらも、読み進めていきました。

①仕事がつらいd0235123_00295166.jpg
いきなり悲しいデータとなりますが、平成24年版自殺対策白書(内閣府)によると男性の自殺率は女性の2.8倍なのだそうです。そしてその理由は健康問題を除けばほとんどが仕事やお金に関わるものだそうで、このことから男性の人生と仕事の強い結びつきが伺えます。

そして国際労働比較2014(労働政策研究機構)によると週50時間以上働いている男性は日本では38.8%ですが、アメリカでは15.5%で、オランダにいたっては1.1%というデータがあります。世界的にも日本の男性の労働時間が他国と比べていかに長時間であるかが示されていました。
その背景には「働き盛り」や「今が頑張りどき」といった言葉で扇動されて「自己犠牲」が評価される日本の会社組織において、男性たちもそういう風潮に迎合してきたということが挙げられます。しかしながら世界的に見ると超特殊で、日本の男性の生き方の中心は仕事になっています。
2007年問題 団塊の世代が大量退職を向かえる2007年に事業の継続性や技術の伝承に対する危惧という点から2007年問題が注目されましたが、男性学では違う観点で捉えています。それは昭和的男らしさに縛られて、仕事一筋で生きてきた人たちが地域や家庭に戻ってくることで発生する様々な問題に焦点を当てています。仕事中心に構成されていた生き方を再構築出来ずに孤立してしまう男性高齢者が多いことが指摘されています。

②結婚がつらい
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恋愛結婚が一般的である昨今は結婚するためには恋愛をしなければいけなくて、それが若者の義務になっています。(私も相当苦労しました)依然として「男性はリードする側、女性はリードされる側」「恋人がいない=能力が低い」という風潮があるため、幼い頃から競争を宿命づけられてきた男性により深刻な影響を与えているのです。

90年代以降になって恋愛において男性に求められるのは頼りがいだけではなく「やさしさ」も求められるようになりました。本書によると強引と優しさの間を、相手の気持ちを察しながら柔軟に往復できるような男性がモテる時代になったとのことで、こんな器用さまで兼ね備える必要があります。
そしてなかなかご縁がないまま40代を迎えた場合、「本人に何かしらの欠陥があるに違いない」という偏見に苛まれ、恋愛以上に既婚/未婚のステイタスは能力の高低と結び付けられて考えられてしまいます。(これは女性も同じかもしれません。)これは非常に残念なことです。
素直になれない男性たち 男性はなかなか頭を下げることができません。それは男性は見栄っ張りで競争するように育てられてきたため、男性はどのようなことでも人より上回らなければいけないと考える傾向があるからです。謝ったらなんとなく女性に負けた気がするという見栄の問題が男女間にも生じています。

男性の生きづらさの正体をまとめた本書はこの他にも様々な問題を取り上げていますが、書面の関係上、私は仕事と結婚における男性のジレンマを挙げました。

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私がこの本を読んでいる間、脳裏に流れていたのはSMAPの「世界に一つだけの花」でした。
一人一人違う種を持っているので、その花を咲かせることに一生懸命になればいいのに・・・と思います。けれども実際、現実に目を移してみるとそう言えない事情がそれぞれありますよね。


ちょうど今週、GW前に会社の女性の先輩とランチしながら話していた話題が、「夫が家事と育児をしない!」ということでした。どうやったらやってもらうのかという押し問答が永遠に続くという話で、我が家もまさに該当すると思いました。(もともと私が家事を引き受けるということで結婚はしていますが、少しは手伝ってもらいたいなという気持ちもあったりします(^_^;))
ただ、①で書いたように男性も競争社会で揉まれながらプライドと志を高く持って働いていることを考えると、主婦の延長線上で働いている私としては、多くを望むのは可哀想なのではないかと思いました。
女性は仕事も出来て、結婚もし、子育ても家事もきちんとこなしているというような完璧を求められる昨今ですが、男性側も仕事もして、家事も行い、イクメンで・・・という完璧像を求められ、生きにくさを感じているのだと思いました。

②については婚活している時に、私はいかに男性の買い手市場であるかということを痛感していたため、「男性はいいよな」と思っていたのですが、男性としてのステレオタイプに当てはめられて自分らしさを押し殺している男性もいるのだと実感しました。確かに女性は理想の男性像を描きすぎて、実際の男性に多くを求め過ぎかもしれません。

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本書を読んで私が男性の生きにくさの根本にあると思ったことは2点あります。
まず1点目が日本は特に社会的流動性が低いことです。「社会のレール」というものがあって、基本的にそこから1度でも外れたらもう戻ることはできません。そして社会的な層が固定されてしまいます。男性の人生は女性と比較して特に人生と仕事の結び付きが強いため、40年間休むことなく働かなければいけないという呪縛とも言えるものを持っていると思いました。

少し立ち止まる勇気というのも必要ですし、そうして色々な経験を積んでまた戻ってきた人が活躍できるような土壌が形成されていくべきだと思いました。

2点目は1点目とも関係しますが多様性を認めない社会であることです。
男性で仕事命な人も仕事はルーチンで趣味の世界に生きる人等様々な生き方があってもいいと思います。男性はがむしゃらに働かなければいけないというのは押し付けだと思いました。そういった意味で昨年ころから声高に言われている「働き方改革」は有効な解決策の一つですし、またLGBTの支援活動も性別によるステレオタイプを超えてダイバーシティー的思考を拡大する素晴らしい動きだと思います。

最後に本書で多様性について述べられている箇所で、私がとても心に残った箇所がありました。
それは「自分の中の多様性を認める」ということです。(P207)

様々な個性があるはずなのに、男性だからという理由で自分の生き方を決めつけていないでしょうか。性別の枠にとらわれずに何でもやりたいことをチャレンジしてみるのが大事だと筆者は述べています。
もちろんやり遂げる過程で気が変わっても平気で、何十年に渡って同じ意識と行動を一貫して続けなければならないとしたら人生はとても息苦しいものになってしまいます。
多様性を認めるということは、単に色々な人の価値観を受け入れるということではありません。
自分の中にも多様性は存在しているので、それを無理に男性という1つの形に押し込める必要はないとのことで、これは男性に限らず、女性にも当てはまることだと思いました。

本書を読んで、男性の置かれている立場を理解することが出来たので、仕事に邁進しすぎているうちの旦那に私は少しは優しくなれるかなと思った次第です(^_^)

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by kanagourmet | 2017-05-04 01:09 | 読書・映画鑑賞 | Comments(0)